イギリス、いつのまに五年

ひさしぶりに書こうという気持ちになった。もう二年以上。それまでにいろいろあった。ロンドンの家に泥棒が入ってあれこれ盗まれた。保険に入っていなかったので泣き寝入り。転職した。家族が亡くなった。そして娘の受験が無事終わった、と思ったら、Covid-19。ずっとWHFしている。

 

出口の見えない現状。Covid-19のおかげでひと月先の予定も立てられない。外出も滅多にしない。でも、新たな発見もあったりで、今のところなんとかやっている。

 

で、個人的にCovid-19のおかげでよかったな、と思うこともいくつかあるな、と走りながら思った。

 

そのうちの一つは、この国の嫌なところが良い意味でたくさん見えるようになった。

 

それで確信しているのは、日本の書店でよく見かける

「豊かなイギリスの暮らし」とか「紳士淑女の国イギリス」みたいな本を手に取ろうと思うことはもう一生ないだろうということ。そして、何かのきっかけで読むことになったとしても、そこに書かれていることに対して「へぇ素敵。」だなんて思うことはもうないだろうということだ。

 

それと同時に、なんで日本ではこの手の本がちょくちょく出版され、そこそこに売れてるんだろう、と興味深い。

 

イギリスにも日本に関しての本はあるけれど、歴史だったり、建築様式や和食だったり。「民度の高い国、日本」みたいな本は存在しない。私が知らないだけかもしれないけれど。

 

いわゆるイギリス本の著者の方々は、相当イギリスに惚れ込んでるんだろうな。イギリスに住んでいて嫌なものを見たり、がっかりさせられる経験をしていないラッキーな方々なのだろうか。

 

私があんまり好きでなないのは、これらの「イギリス本」は根底に日本との比較があることで、豊かさとか、民度とかなんて、一つの定規では語れないのに、と思う。

 

そういえば、「イギリス本」と同じぐらい、いやもしかするとそれ以上に出版されているのは「フランス本」だろう。最近は「北欧本」も多いのではないか。

 

フランスと北欧にも住んだことのある私としては、どうせだったらこんな感じの本ならいいんじゃないかと思う。

 

「イギリス人に学ぶ逃口上」

「公共道徳とは何か。フランス人の知恵」

「暖房費節約術。物価の高いノルウェーで学んだこと」