ちょっとがっかりしたベートーベン

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年末に第九が聴きたくなるのは、地球のどこにいても同じ。ということで、いってきました。Royal Philharmonic OrchestraとGoldsmiths Choral Union / Highgate Choral Society / The London Chorusによる演奏です。 (指揮はChristopher Warren-Green)

ライブで聴く第九は素敵です。身体全体で音楽を感じることができるから。ホルンのソロ上手だな、とか、この指揮者すごい汗かいてる、とか、このバリトンの声、お腹に響く、とか。

で、いつも泣きそうになります。(本当に泣いたことはまだありませんが)ベートーベンがどんな思いで作曲したのか、とかどんな部屋で作曲したのか、とか考えていると、涙が出そうになるのです。

 

ただ、今回のコンサートは色々がっかりしてしまいました。

 

第一部は、同じくベートーベンのピアノコンチェルト第五番。まず、ピアニストが初っ端、誰にも分かるような間違いをしました。「うわっ」と思って、そのあとは、また間違えるんじゃないかと思ってハラハラしてしまいました。実際そのあとも何度か間違えたり、指が滑ったりしていました。おそらく、ピアニストの方も、最初の間違いのせいで慎重になってしまったのかもしれません。ソロの部分がとっても単調でした。

 

私は、何十年も前にピアノをやめてしまっているので、偉そうなことは書くべきでないし、五番は難しいのもわかっているのですが、消化不良でした。2016年最後のコンサートだったことも影響しているかもしれません。

 

そして、第九。まず、コーラス。指揮者を見ようよ、と。私も経験したことがありますが、第四楽章のコーラスは、歌っているだけで気分が高揚します。自分に酔いがちになります。すると、周りが見えなくあります。コーラスの入り方、抜け方はとっても大切で、全員が揃わないとだらしない感じになってしまうのです。

 

昔、シンガポールシンフォニーオーケストラのコーラス部に所属していた時のことを思い出しました。コーラス部門は当然のことながら皆アマチュアです。オーディションがあるものの、レベルもバラバラです。そんな私たちに指揮者のオジさんはしょっちゅうキレてました。コンサート前のオケとの練習の時なんて、ストレスがマックスになっていました。

そんな彼に対して、私は思っていました。プロでもない私たちにそんなに要求できないよ、と。コンサートで歌ったって一銭も出ないのに、と。

観客席に座ってみて、初めて、指揮者のオジさんの怒りがわかりました。そして、反省しました。

 

あとオケ。Royal Philharmonic OrchestraはLondon Symphony Orchestraと比べると知名度が低いですが、由緒ある、レベルの高いオーケストラです。個々のミュージシャンのレベルもとても高いです。なのに、なんで、あんなにバラバラした感じになってしまったのでしょうか。リハーサルが足りなかったのかな。ストリングがとてもおとなしく、その代わりにブラスの主張がすごかった。

 

と、なんだかんだ言いながら、第九を生で聴けたし、幸せな気分でコンサートホールを後にしました。