ボーディングスクールの危機(なんじゃないかと個人的に思う)

2021年になっても落ち着く様子が全く見えない、コロナ。

 

娘の学校の新学期は1月7日から、そして、当然オンライン授業です。

1月4日までは、政府は学校は安全だ、学校を閉鎖するべきではないと言い続けていた。教員をはじめとするスタッフから不安の声が上がっても無視し続け、「法的措置」まで仄めかしていた。なのに、1月4日の夜、いきなり、イギリス国内の全ての学校を閉めます、と。

一連の動きで、ボーディングスクールとその生徒、そして生徒の親は振り回されている。

新学期に向けて、フライトの予約をした海外からの生徒(overseas borders)、政府が方針を変更した時には既に飛行機に乗っていた、、というケースも多い。

我が家は、クリスマス休暇が終われば普通に学校に戻れると思っていたので、教科書やら楽器やら学校に置きっぱなして焦りまくり。

 

そして、何よりもキツイなあと思うのは、オンライン授業。これは、基本的にイギリス時間でのライブ授業なので、イギリスの時間に合わせて進行している。つまり、日本にいる場合は、真夜中まで起きて授業を受ける羽目に、、、いくら若くてもキツイよ。

娘の友達の日本人は、親子で毎日昼夜逆転の生活をしていると言っていた。

 

現時点では二月の後半から再開するかも、と言われているけれど、たとえ再開してもまたいるロックダウンになるかわからないし、だいたい、子供の学年に感染者が出れば、学年全体が二週間の自宅待機になる。何が起きるか全く予測不可能な状況下で、イギリス国外に実家のある生徒の親御さんは、学期末まで、或いは学年末まで、学校の近くにアパートを借りて不測の事態に備えている。

 

当然、ボーディングスクールへの志願者も減っているが、国外からの生徒を受け入れることはとても貴重な収入になるので、これはこのままいくとマズイんじゃないか、、と思っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

イギリス、いつのまに五年

ひさしぶりに書こうという気持ちになった。もう二年以上。それまでにいろいろあった。ロンドンの家に泥棒が入ってあれこれ盗まれた。保険に入っていなかったので泣き寝入り。転職した。家族が亡くなった。そして娘の受験が無事終わった、と思ったら、Covid-19。ずっとWHFしている。

 

出口の見えない現状。Covid-19のおかげでひと月先の予定も立てられない。外出も滅多にしない。でも、新たな発見もあったりで、今のところなんとかやっている。

 

で、個人的にCovid-19のおかげでよかったな、と思うこともいくつかあるな、と走りながら思った。

 

そのうちの一つは、この国の嫌なところが良い意味でたくさん見えるようになった。

 

それで確信しているのは、日本の書店でよく見かける

「豊かなイギリスの暮らし」とか「紳士淑女の国イギリス」みたいな本を手に取ろうと思うことはもう一生ないだろうということ。そして、何かのきっかけで読むことになったとしても、そこに書かれていることに対して「へぇ素敵。」だなんて思うことはもうないだろうということだ。

 

それと同時に、なんで日本ではこの手の本がちょくちょく出版され、そこそこに売れてるんだろう、と興味深い。

 

イギリスにも日本に関しての本はあるけれど、歴史だったり、建築様式や和食だったり。「民度の高い国、日本」みたいな本は存在しない。私が知らないだけかもしれないけれど。

 

いわゆるイギリス本の著者の方々は、相当イギリスに惚れ込んでるんだろうな。イギリスに住んでいて嫌なものを見たり、がっかりさせられる経験をしていないラッキーな方々なのだろうか。

 

私があんまり好きでなないのは、これらの「イギリス本」は根底に日本との比較があることで、豊かさとか、民度とかなんて、一つの定規では語れないのに、と思う。

 

そういえば、「イギリス本」と同じぐらい、いやもしかするとそれ以上に出版されているのは「フランス本」だろう。最近は「北欧本」も多いのではないか。

 

フランスと北欧にも住んだことのある私としては、どうせだったらこんな感じの本ならいいんじゃないかと思う。

 

「イギリス人に学ぶ逃口上」

「公共道徳とは何か。フランス人の知恵」

「暖房費節約術。物価の高いノルウェーで学んだこと」

 

 

 

 

 

 

 

 

イギリスのボーデイングスクール 学費

イギリスのボーデイングスクールの学費は高い。ただ、ボーデイングでなくても私立校の学費がそもそも高いので、通いの私立校に三食がついて、プラス学校の敷地内に快適な住環境が確保されることを考えると、仕方がないかもしれない。

 

娘はイギリス式の四年生でボーデイングスクールに入学した。大学に入学するまでボーデイングスクールに在籍するとなると、十年間をボーデイングスクールで過ごすことになる。

 

現在の学校を受験した頃は、無駄遣いをやめればなんとか何とかなるだろう、と気楽に考えていたが、入学時期が近づくにつれ、色々現実的になってきた。これから十年間、本当に学費を払い続けることができるのか、とか、もし、仕事がなくなったらどうする(イギリスでは十分ありえることなのだ)、とか、病気になったらどうする、とか。でも結局、案ずるより産むが易し、というか、心配しても仕方がないという結論に至った。

 

実際に娘が入学してからは、事前に覚悟していたよりもずっと多くの費用がかかることを痛感している。毎月の給料から学費を天引きしているのだが、手元に残る金額は寂しい。

 

そして、父母会や学校のイベントに参加するたびに、「学費ごときで悩んだことはありません」というオーラを纏っている親御さんに遭遇する。そして彼らが、南仏の別荘(城レベル)で夏を過ごす話などを聞くたびに、「うわー」と思う。

 

正直、「我々のようなサラリーマン家庭にボーデイングスクールは背伸びしすぎなんじゃないか」と思ったことも何度かある。ただ、落ち着いて周りを見渡すと、我々のようなサラリーマン家庭も半分ぐらい存在する。そして彼らは、我々と同じように、毎日の生活費を切り詰めたり、いつまでこの学費を払い続けることができるのだろう、という不安を抱えながら生きているのであった。

 

そして、我々のような家庭のことを考慮してくれているのかいないのか、イギリスの私立校には、数々の「救済措置」がある。もっともポピュラーなのは奨学金制度で、これは全額免除になる「アカデミックスカラシップ」から、年間の学費の10%から25%が免除になる科目別の奨学金制度(スポーツ、科学、音楽、美術など)がある。奨学金を受けるためには、当然のことながら奨学金審査にパスしなくてはならない。

 

また、優秀な学生に向けて、万一なんらかの理由で学費の支払いが難しくなった時のために、期間限定で学費が免除になったり割引になったりする制度もある。

 

我らの娘は、アカデミックに成功を収めるタイプではないんで、アートか音楽でスカラシップを取ってくれないかな、、と密かに願っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イギリスで働く。転職活動。

以前にも書いたが、自分の仕事が危ういかもと感じたのと同じタイミングで転職活動を始めた。

 

日本に居ようがイギリスに居ようが同じだと思うが、まず、履歴書をアップデート。そして、元同僚の紹介で、数人のリクルーター(ヘッドハンター)と会った。

 

結果から言うと、もちろん状況によって異なると思うが、全く意味がなかった。

理由ははっきりしている。今回の転職活動にあたり、業種を「少し」変えたかったからだ。私が会ったリクルーターは全員、私が現在所属している業界の専門家で、紹介してくれる案件も全て同じ業界のものだった。

 

それとは別に、いわゆるLinkedInのような媒体を通じて、何人かのリクルーターからコンタクトがあった。これが結構「当たり」だった。私は、もともとソーシャルメデイアが嫌いで、LinkedInもプロフィール写真も載せず、ろくにアップデートもせず、、と言う酷い状態なのだが、なんと三ヶ月で七人のリクルーターがLinkedIn経由でコンタクトしてきた。そして、結果として、そのうちの一人のリクルーターの紹介してくれた企業から内定をもらうに至った。

 

よく言われることだが、リクルーターの当たり外れは結構激しい。今回も七人のうち三人は完全に「外れ」。でも、残りの四人は「大当たり」。とても優秀だった。

 

それはさておき、今になって考えると、顔写真も載せず、ろくにアップデートもせず、というのは正解だったかもしれない。七人のリクルーターが同じことを言った。「LinkedInからの私に関する情報が限られていたので、それが逆に実際に話をしてみたい、もしかしたら予想以上の成果が得られるかもしれない、と思わせた。」(これで私のアンチソーシャルメデイアぶりに拍車がかかる、、、)

 

そして、リクルーターとは全く別のルートでも、転職活動してみた。つまり、自分からアタック。(自分からアタックするのは中学校の卒業式以来。)前から気になっていた企業のサイトを片っ端からチェックして、興味のある職種に近い求人があるところに、自分から申し込んだ。結果は五社に一方的に履歴書を送りつけて、四社から返事があった。そのうち、二社から面接に呼ばれた。そして、そのうちの一社との面接は予想以上にうまくいき、現在最終ラウンド。

 

あと二週間もすれば、次の行き先が決まっていることだろう。どちらに決まっても嬉しいので、とりあえず今回の転職活動はうまく行ったということか。

 

ところで、イギリスで転職活動をしたのは初めてだったのだが、面接のプロセスで色々と学んだ。これは、今後、イギリスで就職活動したいと思っている人にも役立つかもしれないので、また日を改めて書こうと思う。

 

 

 

 

 

 

 

イギリスのボーディングスクール。次の学校の受験準備。

土曜日に、娘の将来の学校の候補の一つ(あくまでも候補)の見学に行ってきた。(日本でいうところの中高一貫的な学校)

 

第一志望の学校見学に引き続き二校目の見学である。この学校は、知り合いで卒業生がいたり、友人の息子さんたちが通っていたりするということで(しかも、満足度がとても高い)半ば興味本位で見学を申し込んだ。

 

将来の学校見学をする際は、まずは親だけで、親が納得したら改めて子供を連れて再度見学、というのが一般的だ。なので、今回も私と夫の二人で参加した。

 

遠い。ロンドンの自宅から車で二時間弱。それだけで萎えた。もし娘が入学したら、毎月数回、往復四時間かけて送り迎えをしなくてはならない。電車も便利らしいが、最初の数年は一人で電車なんて無理だろう。

 

やっとのことで学校に辿り着くと、女生徒二人が出迎えてくれた。「制服が素敵!」(本当にくだらないと思いつつ、五年間ほぼ毎日着なくてはならないのだから、、大切。)娘から事前に制服をチェックするように念押しされていたのが、制服はクリア。

説明会が始まるまで、ちょっとした朝食のブッフェで、コーヒー(美味しい!前の学校よりも断然美味しい)とペイストリーをいただいた。(これも美味しい!)

 

校長先生(女性で、とても好印象)と教頭先生(男性、これまた好印象)の話が終わると、学内施設及び、ボーデイングハウスの見学だ。ボーデイングハウスのツアーには二人の女生徒が、学内施設は、二人の女生徒に男子生徒が一人加わった。

 

ボーデイングハウスの見学、個室、相部屋、勉強のための部屋、図書室、団欒のための部屋、などを見て回ったのだが、簡単に言うと、全く好きになれなかった。一校目とは全く違う。ただ、これは主観であって、単純に私の娘がこのボーデイングハウスで楽しい時間を過ごしているところが想像できなかった。夫がどう感じているか気になったが、ポーカーフェイスの夫からは、何も読み取れず。

 

続いて、学内施設の見学。

施設全般に関して言えば、こちらの学校の方が恵まれている。

スポーツセンター、サイエンスセンター、そしてDTセンターには度肝を抜かれた。大学並の施設。高い学費を徴収するだけのことはある。でも、もし、スポーツにあまり興味がなく、理系でもなかったら(まさにうちの娘なのだが)、、、と感じた。

 

学内見学にたっぷり二時間かけた後は、質疑応答、とブッフェ式の昼食だった。(昼食は大したことなかった。)

 

昼食後、あまりにボーデイングハウスの印象が悪かったので、別のボーデイングハウスを見学させてもらうことにした。結果として印象は変わらず。

 

全ての工程を終え、帰途に着く。車に乗り込んだ途端に夫が「無いわー」と言った。理由は、私が「無いわー」と思った理由をほぼ同じ。

 

職種も違う、性格も違う、しょっちゅう喧嘩ばかりの我々だが、たまには同じことを考えるもんだ。 ということで、娘を連れて、この学校を最後見学することは無い。

 

イギリスで働く 解雇されるまでの六十日間。カウントダウン始まり。その四。

解雇されるまでの六十日間のカウントダウンを始めたのが昨年の十月末。

 

六十日経ってしまったが、まだ解雇はされていない。でも、カウントダウンは続いている。人員整理の第二波がやってくるという噂が絶えないからだ。そして、自分が第二波に乗るであろうと確信している。人員整理をする企業側としては、その正当性を示すために、「対象となるポストが無くなった」ことを証明しなくてはならない。つまり、厳密に言えば、人員整理を行なった後に、新しく代わりの人を雇うなんていうのはNGだし、ポストが消滅したことが誰の目にも明らかにならなくてはならない。

 

そういう意味で言えば、私の仕事量は確実に減っているので、確実に人員整理の対象者としての道を歩んでいる。

 

で、備えあれば憂いなしということで、カウントダウンを始めたと同時に、つまりちょうど「その壱」を書いた頃に就職活動を始めた。

 

外国人、しかもEU圏外の国籍を持つ人間にとって、イギリスでの転職活動は簡単ではない。現在、イギリスで就労している日本人のほとんどは、Inter-Company、つまり同一企業内での異動(いわゆる駐在員もこれに当たる)でイギリスに転勤してきた人、イギリス人またはEU国籍保有者と結婚していてイギリスで就労する権利を有する人、または、イギリスの大学及び大学院を卒業し、そのまま就労ビザを取得した人に分類できるのではないか。私の就労ビザは一つ目、つまりInter-Companyだ。転勤の際に、夫と子供がイギリス国籍を有するので、家族ビザを取得することも検討したが、会社側からInter-Companyの方が簡単だし早いから、と言われたので、言われるがままにした。実際に申請からビザが自宅に届くまで三日しかかからなかった。

 

このビザだと企業内異動が原則なので、基本的に転職はできないことになっている。転職活動を始めると同時に、家族ビザに切り替えなくては、、と思いつつまだ切り替えていない。(弁護士を通すとこれまたすぐに取得できるが、結構な額を取られる。自分で地道にやれば良いだけなのだが、面倒臭い。)

 

ビザ、切り替えないと、、と思いつつ転職活動をしていたら、この度、新しい仕事が見つかってしまった。前から興味のあった企業ではあったので嬉しいが、ビザの件も含めて手続きが結構複雑そうだ。

 

そして、何よりも、人員整理の対象になることを心配していたはずなのに、今となっては、さっさと整理してほしいと思うようになってしまった。新しい仕事が決まり、それで、「パッケージ」がもらえるなんて嬉しすぎる。人員整理の発表は月末にされることが多いので、もしかして今週金曜日あたり?と思っているが、そんなにウマくいくかどうか。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イギリスのボーデイングスクール 中学高校(?)受験

イギリスの教育制度は複雑だ。日本のように、公立私立を問わず、小学校、中学校、高等学校、大学とシンプルに四つに分かれているわけではない。だいたい、6-7歳から11-12歳の子供が通う、日本でいう小学校みたいなものも、公立と私立で呼び方が違う。当然のことながら、中学も高校も色々な種類がある。

 

私の娘はイギリス式の四年生の始まり(日本でいうと三年生の二学期)からボーデイングスクールに通っている。今は五年生の二学期(日本でいうと四年生の三学期)だから、入学して約一年半が経過したことになる。

 

四年生が終わる頃に、父母会(Future School Forum)があって、将来の学校を選ぶ際のポイント、受験に向けての準備などの説明を受けた。そして五年生が始まって間もなく、いわゆる進路担当の先生と面接(先生と親だけ)があった。

 

まず、将来の学校(Senior Schoolと呼ばれる中高一貫みたいなもの)について、具体的に考えている学校はあるか、と聞かれた。実際に考えていた学校は我々夫婦の場合、一校だけだったのでそう伝えたところ、先生からは、娘の成績、性格、学校での生活ぶりなどを全体的に考慮すると悪くない選択肢だと言われた。その上で、さらに四校おすすめの学校をリストにしてもらった。

次のステップとしては、まずは親だけで学校を見に行くように、そして、気に入ったら娘を連れて再度訪問すれば良いとのこと。

 

今の学校に入学してまだ一年ちょっとしか経っていないのに、もう、次の学校のことか、、、うんざりしたが、実際の入学試験は早い所では来年早々(つまり日本でいう小学五年生)に始まるので、仕方ないか。

 

進路説明会で興味深かったのは、子供にとっての学校を選ぶ際、男女共学か女子校/男子校かという選択肢は、優先順位を一番下にするべきだ、ということだった。「うちの子供はXXXな性格だから女子校がいい(またはその逆)」というのは、往々にして当たらない、それよりも、もっと大切な他の部分での学校の特性を見極める方が良いとのことだった。